ビジネススクールで学ぶリーダーシップとは

ハース一年生のKoomです。宜しくお願いいたします!総合商社で7年半勤務後、今年の8月からハースのフルタイムプログラムに参加しています。総合商社ではインフラ案件の事業投資を担当していました。

さて、早速ですが(夢に描いていた?)ビジネススクールにきてみて、一番驚いたこと。それは統計やミクロ経済のような数学を習う授業のみならず、リーダーシップ論のような一見定性的に見えるような授業でも統計やゲーム理論などを駆使して定量的に教えられているということです。

看板授業Leading People

例えば自分がFallA(1学期はFallAとBに分かれており、10月中旬にFallAが終わりました)で一番好きだった必須授業であるLeading People。この授業はリーダーシップ論を教える授業なのですが、有名な最高経営責任者(CEO)をスピーカーとして呼んで「リーダーとはこうあるべきだ!」と唱えられるものと思いきや…「人間は偏見の塊であるにも関わらず、自分の判断を過信する傾向があります。これまでも多くのリーダーが客観的なデータではなく、自分の勘に頼って間違った判断をしてきています。これからの14回の授業で、様々な実験やケースを通じてこれを証明していきます。君たちが将来組織を率いるた際に、正しい判断をできるようにしましょう」との導入で、至って定量的且つ論理的な授業でした。

授業では、正しい実験を行うためには無作為化(randomization)が鍵であるという実験の定義から始まり、①人は何によってモチベートされるか?②決断と偏見、③交渉術、④人事考課、⑤採用、⑥チームの運用、 ⑦人は権力にどのように反応するか、⑧企業文化、⑨多文化企業におけるリーダーシップと、扱う範囲を自分→対人→チーム→組織・企業と範囲を広げながら、様々な実験やケースが取り扱われていきます。

面白いのが、先生が僕らも違わず偏見や過信があることを証明するために、中間試験・期末試験に細工をしていたこと。40問くらいの5択、択一問題なんですが、出題形式が100%を上限に自分の回答を分散できる仕組みに。1つの回答が絶対に正しいと思えば1問に対して100%のbetし、全く分からない場合は20%を5個に分散できるという次第です。正答した場合は低い%でもボーナスポイントがもらえるようになっており、仕組み的に分散したほうがよくなっています。

結果は(ご想像の通り)、皆自分の回答に自信を持ちすぎていました。クラスの平均値として一つの回答に対して95%betしていたのですが、結果的に85%正答率で、先生はこれの結果を授業でフィードバックし、「如何に我々が自分の判断を無意識に過信しているか」示してくれました。

人は如何なるときでも良心に基づく善悪の判断ができるという幻想

Leading Peopleの授業を通じて一番衝撃だった項目が「人は権力にどのように反応するか」の回。この講義では1963年に発表された有名な「ミルグラム実験」を取り扱い、善良な市民も、権力下では「えらい人からの指示を満たすこと」を自分の使命として考えるようになり、自分自身の良心に基づいた判断ができなくなることに触れます。

Milgrim実験自体は知っていたので、さほど驚きではなかったのですが、続いて授業で紹介された1971年のStanford Prison Experimentと2014年に米テレビ局ABCが行った現代版Milgrim Experimentを知り、世界でも有数の頭脳集団が集まるStanfordの学生のみを対象にしても、人は社会的な関係性に引っ張られ良心に基づく善悪の判断ができなくなること、そして、Milgrim Experimentはの結果は2014現在でも同じ結果となることを知り衝撃を受けました。

また、この一連の授業を受けたあとでも、多くの同級生が「人は良心に基づく善良な判断をできる動物であり、従って権力下で悪事を働いた実行者にも責任があり、個人として制裁を受けるべき」と答えていたこともびっくりしました。僕自身は真逆の発想で、人はどんなに善人であっても、社会的な関係性に大きく影響を受けて意図も簡単にワルになれってしまうのだから、個人の道徳教育(も重要だけどそれ)以上に、健全な社会作り、組織作りに注力すべきという結論に致しました。

夫々の実験についてはWikipediaで調べれば詳しく出ていますので、ここには記載しませんが、You tubeで見れるので、リンクを転載します。

Milgrim Experiment

1963年にイェール大の心理学者、スタンリーミルグリムが発表した実験で、閉鎖的な状況における権威者の指示に従う人間の心理状況実験したものです。

一般から公募した人を先生役と生徒役に分け、先生役が生徒役に対して暗記テストを行い、生徒役が間違える度に、先生役がボタンを押して生徒役に電気ショックを与えるという実験。電気ショックは15ボルトから450ボルト(それぞれのボルトには軽度の衝撃、危険な衝撃等の表示がり)まであり、失敗する度に電撃の付加が増えていく。実験の対象は、先生役で、生徒役は実際には電気ショックを受けていないが、途中から大声を上げて痛がったり、やめたいと請う発声を行う。先生役と生徒役は別々の個室に入っており、先生役は生徒役を見えないが、生徒役の声は聞こえる状況で実験をする。先生役はいつでも棄権する権利を有するが(最初に説明を受ける) 、先生役の隣には実験の責任者(権力者)が座っており、先生役が、途中で実験が躊躇した場合には、「これは実験で生徒に危害を加えることはないから、ボタンを押しなさい」とのコメントを。このような状況下、先生役がどこまで電圧をあげるか?というのが実験ポイント。

結果は、ほとんどの人が、躊躇しつつも熾烈な衝撃を超え、最大の450ボルトの付加をかけるまで実験をやり続けてしまうというもの。公募で集められた人には小学校の先生から博士課程の人まで含まれており、いとも簡単に人が権力下では自分の良心の判断を失い、通常では考えられないことを行うことが証明された。

 

 

Stanford Prison Experiment

1971年にStanford Prison ExperientというStanfordの学生を囚人役と看守役に分けてどのように行動するかという実験(殴る蹴るのみ禁止)を行った結果、日が経つにあたり、看守はより看守らしく、囚人はより囚人らしく振舞うようになることが証明されたもの。

2014年米テレビ局ABCによる、Milgrim Experiment remake

Milgrim実験を2014年に再度実施して、現在でも同じ結果が得られることが証明された。

 

それでは、また来週!