欧米に通用するか?日本のソフトパワー

2016年11月1日、犬の日として良く知られたこの日(*)、米国西海岸のとあるビジネススクールに激震が走った。

(*)ペットフード工業会等6団体が1987(昭和62)年に制定。
犬の鳴き声「ワン(1)ワン(1)ワン(1)」の語呂合せ。

 

 

 

 

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教室に歌舞伎役者が出現したのである。

 

 

 

見てほしい、この周りの驚嘆の表情を。

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見向きもしていない。

 

 

 

 

一番の激震は、「この会社の2015年度Net Working Capitalを計算せよ」と教授から普通に指名されたことだ。完璧に構築された隈取(**)に一瞥もくれない教授の一環した態度に、さすがの歌舞伎役者も「あつぱれ、やんごとなき寺子屋、さもありなん」と動揺を隠せない。授業内容が歌舞伎役者と根底的概念を共有するコーポレートファイナンスであったことが唯一の救いだ。

(**)超人的な英雄や敵役,神仏の化身,鬼畜などの役柄を誇張するために施す独特の化粧法。

 

なぜ、このような事態に至ったのか?

 

それはこの授業から3カ月以上前に遡る・・・

 

物語の主人公は何の変哲もないMBA日本人留学生・勘九郎(仮名:29歳既婚子持ち)だ。

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Photoshop様のおかげでイケイケ風に映っている勘九郎は、その内実悩んでいた・・・

 

 

 

・・・おれ全然存在感ねぇんじゃね?

 

 

 

途上国への長期滞在を含む数多の海外経験、そして、家庭の貧しさから何度も死線を潜ってきたことから、このアメリカの地でもありとあらゆるリーダーシップポジションを手中にし、酒池肉林の宴を毎夜開催する予定だった。

 

 

しかし、その実はどうだ。文化の違い、そして、言語の壁に阻まれ、全くもって自分を表現出来ないでいた。

 

クルーザーを貸し切って湖を縦横無尽に走り回りながらパーティをするという超Socialなイベントに参加しても・・・

 

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どこにいるかもわからない

 

 

 

ここです

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なんならもう帰りたい
(なんかあざみたいなのがある。暴力振るわれたの?)

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このありさまで、勘九郎はすっかり自信を失っていたのだった。

 

そんな折、勘九郎にとあるメールが届く。

 

 

「1年生各位、MBAA(***)の代表選挙を行います。立候補者はXX日までに選挙登録を行うように。役職は以下の通りです・・・」

(***)MBA Associationの略でMBAにおける生徒会の役割をする組織。学生生活の様々な場面で、学生と学校側、そして学校外をつなぐ窓口役を果たす。

 

 

そして、その中に「留学生の学校生活への円滑な適応と学校全体の国際化推進を担う」VP Internationalという役職を発見したのだった。

 

 

これだ・・・

 

 

これなら日本人、そして、これまでの学生経験を活かすことが出来る。そして、これまで何かと苦労している私だからこそ出来ることがある。

 

勘九郎はそう確信したのだった。

 

しかし、他の立候補者も相当な手練れになるに違いない。正攻法では勝てない。何か良い方法はないか・・・

 

そう考え始めた時、勘九郎の心に浮かんだのは、意外なまでにプレゼンスの強い「日本カルチャー」だった。「失われた20年」と言われて久しい日本だが、世界第三位の経済大国として未だに世界経済に大きな影響を与えているのは揺るがぬ事実だ。寿司、ニンジャなど、定番どころが有名なのはもちろんとして、広く言えばトヨタ方式などの企業文化も授業で扱われる。同級生を日本に連れて旅行するJapan Trekは、常に定員オーバーの大人気だ。

 

これだ・・・!

 

勘九郎は、「日本のソフトパワー」を武器に、この戦いを制することを心に決めた。

 

勘九郎は日本人同級生プラス日本に強い関心を持つ日本人以外の学生を加えた選挙対策チームを結成。さすがは多種多様な職業経験を有する猛者たち、圧倒的に完璧な対策が練りあがっていく。

 

 

ちょんまげ

 

まずはチョンマゲ。これは基本だ。ちなみに着ている半袖シャツはヒートテックであることも忘れてはならない。チョンマゲにヒートテックを合わせるという技は、就活時代にUNIQLOでインターンをした勘九郎ならではの芸当であろう。

 

 

そして、次の瞬間には、本選挙における核弾頭の、その禁断のベールが脱がされる。

 

 

 

おしろい

 

 

完璧だ。和服を重ねることで、和を以て尊しとなしているにも拘わらず、ヒートテックもまだ存在感を発揮している。なにより、顔が白い。クールだ。クールすぎる。ここまでクールなマスクを持った男性がかつて米国のMBA課程に在籍したことがあったであろうか?マスクのクールさ、UNIQLOのヒート。クール&ヒート。なんというバランスなのか?黄金律という言葉は勘九郎の顔の白さとUNIQLOのヒートテックが由来に違いない。

 

 

ここで、あることに気づく。

 

 

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これ、何かに似てないだろうか?

 

 

 

 

思い出した。

 

 

 

 

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検索エンジンだ。

 

 

 

いつもお世話になってます。
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そういえば、ドラマでも見たことがある気がする

 

 

 

 

 

思い出した。

 

 

 

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いつもクールな花沢類。窓際の狭いスペースに腰掛けながら「まーきの」と声をかける余裕があるのなんて、この地球上で勘九郎以外にはいないはずだ。

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このクールな表情をもってすれば、就職戦線も余裕であろう。ケース面接の面接官は、ケースの課題を与える前に恐れおののいて採用の判を押すに違いない。圧迫面接をしようと思っても、ドアを開けた瞬間からこのホワイトプレッシャーを受けては呼吸をする間もないだろう。

 

 

ということで、Linkedinにも登録してみた。

 

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高額所得が予想される勘九郎にとって居住地はヴァージン諸島以外にあるまい。フリーランスの歌舞伎ファイターとして蓄積した経験を以て、ありとあらゆるタックスをヘイブンするのだ。

VCに関心があることも書き忘れてはならない。歌舞伎勃興の為にテック系Startupにこぞって投資し、演者・観客すべてがAIで構築された歌舞伎舞台を実現するのが勘九郎の夢だ。歌舞伎役者AIが放った一挙手一投足を、観客AIがディープラーニングで模倣、その観客の反応を役者AIが更にディープにラーニングすることで、ディープ・歌舞伎・ラーニングの正三角形がこの世に到来すると勘九郎は確信している。日本の伝統芸能における、世阿弥以来の革新だ。画面右下の”Connection 0″(友達いません)が燦然と輝く。

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでついにその時が来た。

 

 

選挙当日である。緊張する手を握りしめながら、勘九郎はその舞台に降り立つ。日本のソフトカルチャーの力を借りて、かの孫正義が学んだバークリーの地に侍スピリットを刻み込まんとするのである。

 

 

その映像がこちら。

 

 

やりきった・・・

 

 

マイクが低すぎて終始中腰になるというハプニングに見舞われたが、それが逆に歌舞伎の所作に見えるという奇跡も巻き起こった。日本のソフトパワー、恐るべしである。

 

 

 

そして、本日、投票結果がメールで発表された。

 

 

***Election Result***

President:     John Cabila(仮名)
VP Martial Arts: Bob Sapp(仮名)
VP Social:    Becky Spring(仮名)
VP Academics:    Osamu Hayashi(仮名)

 

 

 

あれ、私の名前がない・・・!と勘九郎は思ったが、その下にある文面を発見した。

=-=-=-= Run-off Candidates =-=-=-=

In this position, no single candidate received at least half of the votes, so the top 2 candidates will participate in a run-off.

 

 

け、決選投票(Run-off)だと・・・!?

 

 

 

VP International

Antonio Inoki(仮名)
Kan☆Kurou(仮名)

 

 

あ、あのアントニオ(仮名)と一騎打ちか!!!!

 

アントニオはブラジル人留学生として、同国出身者、広く言えばラテンアメリカコミュニティーから強い支持を受けている学生だ。いわば正統派のヒラリー。

 

「勘九郎おめでとう。でも、これは嵐の予感だね・・・」

 

同級生が勘九郎にそう声を掛けた。そう、ここからが本番なのだ。

 

 

 

結果は今週水曜日。どうなることやら・・・

 

***

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